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伊藤 均*
食品照射, 35(1-2), p.1 - 6, 2000/09
微生物の放射線感受性は生残菌数を測定する平板培地の種類によって異なることがある。本研究ではヒドロキシラジカル等と酸素の放射線感受性に果たす役割を解明することを目的として異なった種類のラジカル捕捉剤、異なった種類の培養基を用いて放射線感受性の機構について検討した。大腸菌S2株のD値は窒素ガス飽和に比べグリセリン添加で著しく増加したがポリエチレングリコール添加でのD値は無添加系と同じであった。また、一酸化二窒素飽和でのD値は窒素ガス飽和より若干低下する程度であった。また、これらの照射条件では平板培地の種類による差は少なかった。一方、酸素ガス飽和または窒素ガス+蟻酸添加系ではD値は小さくなり培地による感受性の差も大きく認められた。蟻酸共存下ではスーパーオキシドラジカルが発生しており、これらの結果はスーパーオキシドラジカルがDNA損傷ばかりでなく細胞膜障害に関与することを示している。
久米 民和; 伊藤 均; 飯塚 廣*; 武久 正昭
食品照射, 18, p.5 - 9, 1983/00
飼料から分離されたA.versicolorの分正子の殺菌曲線は緩衝液中でも乾燥状態でもシグモイド型を示した。D値とInduction doseは、緩衝液中で37および17~18krad、乾燥状態で50~51および25~48kradであった。これらの結果から、A.versicolorの殺菌線量は0.7Mrad以下で十分であることが明らかとなった。他の好浸透圧性系状菌の放射線感受性もA.versicolorとほぼ同様であった。分離されたA.versicolor3株のつち2株に発ガン性物質であるステリグマトシスチン産生能が認められた。精白米培地上に30C、10日間培養したときのステリグマトシスチン産生量は、標準株MYA-0056株の1/2~1/3程度であった。ステリグマトシスチンは乾燥状態で照射すると線量に比例して分解したが、放射線に対して安定であり完全に分解するためには52Mradの高線量を必要とした。したがってステリグマトシスチンが産生する前に、放射線殺菌することが効果的である。